京都【建仁寺】で「夜間ライトアップ」。雲海が出現するプロジェクションアートなど見どころ紹介

【開催日:2024年8月2日(金)~9月22日(日) 】

京都の繁華街で、観光客でにぎわう花見小路を抜けた先にある京都最古の禅寺「建仁寺」にて2024年8月2日(金)~9月22日(日) の期間 、夜間ライトアップ楽しめる特別イベント「夜間プレミアム拝観『ZEN NIGHT WALK KYOTO』」が開催。「癒しの夕涼み」をテーマに”脳がととのう”というニューロミュージックを聞きながら、歴史ある回廊を練り歩く「歩行禅」を行う事が出来ます。

日本有数の枯山水「大雄苑」では夏の涼にもピッタリな雲海が出現し、色とりどりに照らされた枯山水とともに幻想的な光景をお楽しみいただけます。また、建仁寺を象徴する天井画「双龍頭」もプロジェクションアートに彩られ、さながら龍が舞い降りてきた瞬間のような演出も。

音と静寂・光と影に彩られたいつもとは異なる建仁寺の姿を目でも耳でも楽しめる体験型のサウンドアートイベント、世にも珍しい「ZEN NIGHT WALK」と銘打たれたその現場のレポートをご紹介いたします。

この記事はこんな方におすすめです。
・京都東山に旅行、観光を予定や計画をされている方。(清水寺、建仁寺、八坂神社、花見小路、安井金毘羅堂、祇園周辺を観光される方)

・京都の新スポット、穴場スポット、デートスポットをお探しの方

・京都のSNS映えするスポット、お洒落なスポットをお探しの方、美術、芸術、アートが好きな方

・京都のライトアップを楽しみたい方
など

イベント開催概要

【イベント名】    
建仁寺夜間拝観『ZEN NIGHT WALK KYOTO』

【イベント開催日】 
2024年8月2日(金)~9月22日(日) 19時~21時半 (受付終了21時)
※夜間拝観休止日:8月14日(水), 23日(金), 31日(土), 9月6日(金), 7日(土), 14日(土), 17日(火), 18日(水)

【料金】      
大人:2,200円 / 12歳以下:1,100円 / 6歳以下:無料
※基本予約の前売り販売。ただし当日、建仁寺入口にて当日窓口販売あり(現金不可・デジタル決済のみ) 
※価格は全て税込み。  
※前売り購入は公式サイトより
※JR「EX旅先予約」では特別拝観席付きのプラン有。大人:2,700円

【購入方法】
KKday / JR「EX旅先予約」/ Etix / ローチケ

【所要時間】
1時間~1時間30分程度 ※個人差有

【アクセス】
こちらをクリック

【公式サイト】   
https://zen.vie.style/

建仁寺とは

臨済宗建仁寺派の大本山で京都最古の禅寺でもある建仁寺。開山は教科書でもよく目にする栄西禅師。鎌倉時代の1202年の創建より800年の時を経て今も禅の道場として広く人々の心のよりどころとなっているお寺です。だれもが一度は見たことがあるであろう国宝「風神雷神図屏風」をはじめ、雲龍図など数多くの襖絵などを見ることのできます。広大な方丈や庭園を眺めるスポットなどお堂を練り歩く形は他の神社仏閣とは異なり美術館・博物館のような雰囲気を思わせます。

なかでも大きな法堂の天井いっぱいに描かれた天井画「双龍図」は圧巻。薄暗い法堂の中に本当に龍が舞い降りてきたような錯覚さえ思わせるようなひと際巨大をご覧いただけます。

建仁寺内全9か所を巡る歩行禅「ZEN NIGHT WALK」

<ニューロミュージックとは>

「脳波のある帯域を増強・減衰するためにデザインされた音楽」であり、聴取することで、脳波への影響が科学的に実証された音楽です。人間の精神・身体に影響することを目的に作曲され、「集中」「リラックス」などの効用があります。今回のイベントでは京都最古の禅寺 建仁寺の雰囲気に合った心地よい音楽をお楽しみいただけます。

公式リーフレットより抜粋

(内1か所はJR「EX旅先予約」での特別予約が必要)

①エントランス

青くほの暗い雰囲気からすでに神秘的な空間へ迷い込んだような演出がなされており、日常から切り離されたような雰囲気となっています。

靴を下駄箱に預けるとすぐに第1会場がお目見え。普段は「風神雷神図」屏風の複製画が飾られているエントランスですが、この期間は画家「小泉淳作」氏の生誕100周年を記念し絵画作品が特別展示されているほか、小泉淳作氏作品レプリカや建仁寺に関するショップが登場しています。小泉淳作は建仁寺の象徴ともいえる法堂の天井画「双龍頭」を描いた画家で、その迫力あるタッチによる作品や双龍図とは異なる繊細なタッチの作品など様々な絵画をご覧いただけます。

②本坊中庭「〇△▢乃庭」

エントランスから道順に沿って歩くと「〇△▢乃庭」が最初のニューロミュージックとともにライトアップされた姿をご覧いただけます。このお庭の独特なライトアップで「サウンドアートナイト」というテーマが他のライトアップとは一線を画すイベントであると感じ、見ているだけで心が穏やかになるようでとても素敵でした。乃庭は元々単純な3つの図形によって宇宙の根源的形態を示し、禅宗の四大思想である地・水・火・風のうち、四角い間取りや設置された井戸が▢(地)を、枯山水の円形が〇(水)を、植えられた木が△(火)を象徴しているという神秘的で落ち着いたお庭。そんなお庭が穏やかなニューロミュージックとともに四角く縁どられ青く点滅するライトでより一層神秘的な雰囲気を醸し出しています。このお庭の独特なライトアップで「サウンドアートナイト」というテーマが他のライトアップとは一線を画すイベントであると感じ、見ているだけで心が穏やかになるようでとても素敵でした。

③小書院

こちらでも画家「小泉淳作」の作品が展示されています。普段とは雰囲気の異なるほの暗い小書院での絵画の鑑賞はまるで美術館のようです。

④本坊中庭「潮音庭」

長方形に縁どられ、回りに紅葉を配した中庭「潮音庭」で、再びニューロミュージックとともにライトアップされた美しい青紅葉が拝見できます。音楽合わせてライトの光量が微妙に変化することで、同じ方向からでも彩りを様々に変化する青紅葉は心を落ち着かせいつまでも見ていたくなるかのよう。小書院から回廊をぐるりと回った先の大書院の通路に椅子も設置されているので、腰を落ち着けてじっくり、ぼーっと眺めるのもお勧めです。四方様々な角度から見事な庭を楽しめるのも嬉しいです。

⑤大書院
小泉淳作氏の作品「蓮華」

大書院側では「潮音庭」を別角度から眺め見る事ができるほか、小泉淳作氏の作品「蓮華」の襖絵を鑑賞できます。大書院の襖に端から端まで描かれた蓮華は見るものを圧倒する美しさで、ほの暗い大書院の雰囲気も相まって作品の神秘性をより醸し出しているかのようです。

唐子の間
小泉淳作氏の作品「しだれ桜」

方丈までの通路に小さいフロアがあり、こちらでは4面の襖いっぱいに描かれた小泉淳作氏の作品「しだれ桜」を鑑賞できます。フロアは小さいながらも、そのフロアを埋め尽くすほどのしだれ桜は豪快かつ鮮やか。見るものを思わず立ち止まらせるほど見事な作品です。

⑦方丈 

※休憩所の入場はJR「EX旅先予約  特別拝観席」購入者のみ。

方丈の内部

方丈は入場こそできませんが、方丈の中を見ることができ、国宝「風神雷神図屏風」(デジタル複製の方かと思われる)や建仁寺を開山した栄西禅師の絵画もこちらで見ることができます。暗く静まり返った方丈はいつもよりも厳かで神聖な雰囲気でした。

 また、JR「EX予約」で特別拝観席を予約した方は専用のリストバンドを入場時に着けてもらえるので、係員にそれを見せれば方丈横の2か所の広間を休憩所として使用できます。この休憩所では桃山時代に海北友松によって描かれた「雲龍図」の襖絵(デジタル複製)を間近くで鑑賞することができます。以前私が通常拝観で訪れた際は入場が禁止されており、離れて見ることしかできなかったのですが、間近くで迫力ある襖絵を見ることができたのは感動でした。もう一つの広間では後述の方丈前庭「大雄苑 蒼海」も座布団に座りながら鑑賞できるのでなんだか雅な気分に。若干お高くはなりますが、JR「EX予約  特別拝観席」での予約をお勧めいたします。

⑧方丈前庭「大雄苑 蒼海」

建仁寺ライトアップイベントの中でも目玉の箇所の一つ。
方丈の前に位置する白砂と緑苔、巨石を配した日本有数とされる枯山水「大雄苑」(だいおうえん)にスモークマシン、ブルーや緑のライト、心地よいニューロミュージックの演出が素晴らしいスポット。枯山水庭園を埋め尽くすスモークはまるで雲海のようで、彩りを変えるライトに庭やスモークが照らされ何とも幻想的で神秘的な雰囲気をお楽しみいただけます。縁側に座って鑑賞する事ができるので、時間を忘れていつまでもぼーっと雲海を眺めることができ、思わず京都の町中にいる事を忘れてしまいそうになりました。落ち着いたニューロミューッジクが心や脳も落ち着かせてくれるので、「この場所にいつまでも座っていたい」と思えるような癒しの空間でした。

斜めから、正面から、階段を下りた先からもその表情を変え、天気が良ければ夜空の星も楽しめるのも魅力です。スモークも本物の雲のようにひんやりと冷たく気持ちいので、蒸し暑い京都の夏における川床に代わる新しい涼の取り方としてもお勧めです

⑨法堂「脇田玲 龍雨図」

建仁寺ライトアップイベントの中のもうひとつ目玉の箇所。
法堂に描かれた小泉淳作氏作の天井画「双龍頭」を、脇田玲 氏によるデジタルプロジェクションアートとニューロミュージックによってより迫力ある演出が施さています。法堂の2か所に設置されたプロジェクタースクリーンに映し出される映像はこれまでのブルーを基調としていた場所とは異なり、赤・黄・銀を中心とした迫力ある色合いに。

ニューロミュージックも優しい音楽から和太鼓や雨、落雷の激しい音楽がながれ、壁側にも龍が天へとうねりながら登っているかのようなプロジェクションアートが施され、天井に描かれた双竜が本当に舞い降りたかのような迫力ある演出で、他にはない没入感の高い体験ができました。これほど近くに龍の到来を感じる場所は日本全国にも無いのではないでしょうか。天井の双龍頭も色とりどりに様変わりに普段の様相とは異なる迫力を楽しむことができました。

Instagramでリール動画も公開していますのでぜひ、参考までにご覧ください。

感想

心と脳も整える他に類を見ないライトアップ。
京都最古の禅寺である建仁寺ならではの没入感の高いアート体験が魅力

プロジェクションマッピングなどの最新技術を用いた夜間イベントは全国各地に数多くありますが、今回のイベントほど建物のもつ本来の魅力を引き出すようなイベントはほかには中々ないように感じました。

ただライトアップする、プロジェクションマッピングを行うというのではなく、「いるだけでこころ静かに自らと向き合える」という建仁寺の魅力を存分に引き出すように、禅への理解とその魅力を多くの方に広めたいという気持ちが伝わるような空間で、最新技術と文化とが非常にマッチしたイベントだと思います。

優しく照らされた美しいライトアップや優しい音楽は心や脳を自然と落ち着かせ、日ごろの喧騒や夏の蒸し暑さを忘れ、禅が大事にする『心』との向き合いという精神を自然と促してくれるかのようです。会場内も人数制限を設定しているようで、大混雑ということもなく静かで穏やかに過ごす事ができました。また、法堂の双龍図を描いた小泉淳作氏の絵画の数々もこのイベントに彩りを与えており、日本画・日本建築・禅の精神と近代アートが見事に融合した場所でした。

単純にスモークもひんやりと気持ちいので、夏の夜を涼しく過ごせる手段として今後も浸透してほしいイベントです。京都の歓楽街である河原町や人気観光地 清水寺などにも近く、アクセスしやすいという点でも魅力的ですね。

私は今回JRのEX旅先予約で特別席付きの購入(2,700円)でしたので、特別席にて以前通常拝観時に訪れた際は近くで見ることのできなかった、襖絵の「雲龍図」を間近くでみることができたのも嬉しく思いました。

目でも耳でも楽しませながら、心と脳も整えるライトアップという京都最古の禅寺建仁寺ならではの没入感の高い体験は、ぜひ来年も参加したいと思いました。次回は風神雷神図屏風によりちなんだ演出も拝見できればと思います。

注意点

・多少段差があり、暗がりになるので足元には注意。

・靴を脱いでの拝観のため、靴下を履くことをお勧め。靴を預ける靴箱も暗くなっているので見分けがつきにくいのが難点。入り口付近など、自身が覚えやすく分かりやい場所に置くことや目印を用意しておく事がおすすめ。

・当日券もあるが、現金不可・デジタル決済のみ。イベントは人数制限を設けているようですので土・日・祝日は予約が無難。

アクセス

住所:大本山建仁寺:京都市東山区大和大路通四条下る小松町584
・<京阪電車>利用の場合:「祇園四条」駅より花見小路を直進。 徒歩約7分。

・<阪急電車>利用の場合:「京都河原町」より 花見小路を直進。徒歩約8分。

・京都駅からのアクセス
 <市バス>利用の場合、市バス206号に乗車し東山安井で下車。
      徒歩で安井金毘羅宮を抜ける。徒歩約5分。


 <電車>利用の場合、JR奈良線に乗車し「東福寺」駅で京阪線(出町柳行き)に乗り換え、
    「祇園四条」下車。その後は上記と同じ。所要時間は計約21分。

【最寄り観光地】
清水寺 / 安井金毘羅堂 / 祇園・花見小路 / 八坂神社 /六波羅蜜寺 / 錦市場 / 木屋町 / 四条河原町商店街 /高台寺 / 歌舞伎座/二年坂・三年坂 など

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