京都・清水寺「夏のライトアップ」と「千日詣り」見どころレポート
京都を、日本を代表する人気観光地である世界遺産「清水寺」。
そんな清水寺にて夏のお盆の期間限定で行われる「千日詣り」に参加してきました。
夏の京都は非常に蒸し暑いのですが、夏季期間に飾られる南部鉄器の風鈴の音色が響き渡る境内と夕方から夜間は多少気温が涼しくなるので日中観光よりもおすすめです。
また、8月14日~16日の期間中は特別夜間拝観が可能で期間中は21:30まで開門時間を延長いたします(21:00 受付終了)、境内は美しくライトアップが行われます。そんな「千日詣り」と「清水寺の夏のライトアップ」についての解説や見どころをご紹介。毎年行われる行事ですのでぜひ、次の機会にご参考ください。
■清水寺のライトアップについて
清水寺のライトアップは基本的に春、夏、秋の年3回
春・秋はそれぞれ桜、紅葉の季節に合わせてのライトアップとなり年にもよりますが、7日間~12日間ほど開催されます。
対して夏のライトアップは8月14日~16日のわずか3日間限定の開催となり、さらに千日詣りという事で春・秋とは異なり本堂の内部の「本堂内々陣」の特別拝観も行われるより貴重な機会となります。
※例外的にライトアップイベントなどが催される事がございます。
<2024年の清水寺ライトアップ日程>
- 春 :3月23日~3月31日
- 夏 :8月14日〜16日(千日詣り/本堂内々陣特別拝観)
- 秋 :11月18日〜30日
※ 上記期間中は21:30まで開門時間を延長(21:00 受付終了)
※ 拝観料金は通常通り大人500円
■清水寺の観音様信仰と千日詣りについて
<清水寺の観音さん>
清水寺とは「大きな慈悲を象徴する観音さまの霊場」
清水の舞台や清水坂や二年坂・三年坂といった賑やかな路地など観光地としての側面が有名な清水寺ですが、もともと清水寺とは「清水寺の御本尊、「十一面千手観世音菩薩」にお参りする場所」とされて、古くから「清水の観音さん」として親しまれています。
この観音さまは、十一の表情と四十二の手で大きな慈悲をあらわし、人々を苦難から救うといわれています。無病息災や立身出世、良縁といった現世利益を願う人々に篤く信仰されてきました。観音さまと向き合うことは、自身の内面を見つめるということ。これまでの様々な人や出来事を振り返り、
大慈大悲をあらわす観音さまを慕って今も多くの人々が集います。撮影禁止のため、お見せする事ができませんのでぜひ現地に足を運び観音様と対面ください。
<「千日詣り」とは>
「千日詣り」は8月9日~16日まで(夜間拝観・ライトアップは14日~16日限定)
一日の参詣で千日分のご利益を授かれる、観音信仰における最大の功徳日
千日詣りとは、観音様の縁日の中でも「最も大きな功徳が授かるとされる日」であり、「一日のお参りで千日分のご利益にあずかれる」といわれる日とされています。先ほど紹介した無病息災や立身出世、良縁といったご利益が千日分とは非常にありがたいですね。千日の「千」とは清水寺の御本尊は「十一面千手観世音菩薩」さまの千を指し、無数無量(はかり知れないほど多いこと)を意味します。
かつては8月9日・10日が千日詣りの日とされて来ましたが、現在では8月9日~16日まで(夜間拝観・ライトアップは14日~16日限定)となりました。期間中は入場チケットのデザインも特別仕様となり、お札を授けていただけていただけます。普段は入る事の許されない本堂の内部である「本堂内々陣」が特別に入場する事が可能となり、普段は柵越しにしか見えない「十一面千手観世音菩薩」さまを間近で見ることができ、本堂内で販売されているろうそくに火を灯しお参りすることができます。特に夜間拝観の際はより幻想的な雰囲気を楽しむことができます。
■夕暮れの清水坂の様子
8月14日の17時00分頃に清水坂に到着。ライトアップは18時頃からなのですが、夏休み&お盆期間という事もあり、どれほど混んでいるのかわからなかったので早めに行きました。実際のところ人通りは多い事は多いですが、テレビで報道されるような人込みで全く進めないという事もなく、例えるなら京都駅のホーム並み程度の混雑といったところ。特別困ることも立ち止まることなく、難なく進行することはできました。夕方という事で帰る観光客のほうが多い印象です。
事前の調べでは夏の日没は19時頃と遅め。清水坂や二年坂・三年坂付近の多くの飲食店が17時~18時に締まることもあり、多少の腹ごしらえに食べ歩きをするなら17時00分頃までに訪れ、お店を探すのがおすすめです。ということで、私も軽食として食してから移動しました。夕日をバックにする法観寺や明かりのつき始める二年坂など、この時間帯ならではの景観を楽しみながら練り歩けるのも清水寺夜間拝観の魅力ですね。
■清水寺へ入場:夏期間限定の南部鉄器の風鈴
8月1日から31日までの1ヶ月間、境内には南部鉄器の風鈴が設置
千日詣りの期間だけ、チケットが千日詣り仕様に変わり写真のように。裏面には千日詣りの解説も記載させています。
入口を抜けると本堂へ続く回廊に夏期間限定(8月1日から31日までの1ヶ月間)で飾られている南部鉄器の風鈴がお出迎えしてくれました。
この風鈴は岩手県の伝統工芸品で約500個も飾られているのだとか。ガラス風鈴とは異なる透き通るような高い音色が響きわたる境内は何とも風流で熱い夏を少しでも涼やかな気分にさせてくれます。なぜ、京都に岩手県の伝統工芸が?と疑問に思うかもしれませんが、清水寺を創建した坂上田村麻呂が、征夷大将軍として801(延暦20)年に蝦夷征伐を行った際に、陸奥国(現・岩手県盛岡市)の族長、アテルイ(阿弖流為)とモレ(母禮)との間に、敵・味方を超えた友情が生まれたという伝説があり、この友情にちなんで2009(平成21)年から毎年8月に主に岩手県出身者で構成する「京都清水寺で南部風鈴を愛でる会」から提供されて飾るようになったとの事。風流さに浸れるだけでなく昔から風鈴には厄除けの意もあることから、千日詣りも相まってより有難さや効果も感じます。
また、東日本大震災の犠牲者追悼やウクライナ、ウクライナの平和などを祈願なども込められ、岩手県と京都市の児童らの願い事が書かれた短冊がかかっています。
■本堂で千日詣り
風鈴の回廊の横には本堂への千日詣り詣りの入場のために入場待ちの列が。30人ほど並んでいましたが、10分程並ぶと入場する事ができました。入口で靴を預けて入場、入場してすぐに売店があり、ろうそくを買い求めることができます。
写真撮影不可のため中をお見せすることはできないのですが、本堂内が混雑しないようお寺のスタッフが入場する人数を整備してくれているので、人込みの中で参拝することはなく快適でスムーズに歩く事ができ、落ち着いた雰囲気の中で進むことができました。
私も本堂の外側がら見る機会はたくさんありましたが、実際本堂の中に入るのは初めて。普段見ている観音様の位置する場所の裏の通路から入るのですが、道中には不動明王像なども並んでいて、この日ではないとお目にかかる事のできないものも多数ありました。中は薄暗く、ろうそくのわずかな明かりで照らされて非常に神秘的な空間が広がっており、自然と自身の事・これまでの縁などを振り返り、清水寺の御本尊である観音様を間近で拝める貴重な機会となりました。間近で見る観音様は迫力もあり、神々しくも穏やかな表情。観音さまの別名は「あらゆる方角に顔を向けた者」だそうですが、救いの手を差し伸べていただいているようです。
また、参拝者には無料でお札が配られています。自宅へ持ち帰ることが可能ですので、ぜひ飾りたいと思います。
■清水寺境内のライトアップ
<ポイント>
・観光ポスターやCMでよく見る本堂と京都市内を映した写真は「奥の院」の舞台から撮影
・薄暗くなるのは19時頃。「奥の院」で写真を撮るなら20~30分前にはポジション取りを。
(大混雑にはならなかったので、時間を20時以降にずらしても可。)
・観音様の慈悲の心を表した、京都の夜空を照らす幻想的な青い光は見もの。
・子安塔は通常営業と同じく18時には閉園するので、見学するなら早めに。
点灯は大体18時50分頃から。それまでは外はまだまだ明るいので境内を散策しながら撮影スポットを探しました。本堂の他、音羽の瀧から出口までは夜間も開放されていますが、子安塔は通常営業と同じく18時に締まりますのでご注意を。
有名な本堂の清水の舞台や本堂や京都の街並みを一望できる奥の院などは30~50人程の人でにぎわっていましたが、身動きが取れないほどの大混雑というわけでもなく、スムーズに散策する事が可能でした。
19時頃になるとようやく日が落ち始め、だんだんとライトアップが映える風景となります。夏のライトアップは、本堂は主に本堂下の紅葉が照らされ、本堂の暗さとの紅葉の緑の明るさとの対比で古都らしい大変渋い雰囲気のライトアップが楽しめます。秋のライトアップよりも少し暗めかと思われます。
また、同じ時刻あたりには京都駅にある京都タワーも青くライトアップされ、渋く照らされる木像の清水寺本堂と近代的な明るさの京都タワーの異なる二つの時代を表したかのようなライトアップが楽しむ事ができるのが、清水寺の魅力だと思います。
また、清水寺のライトアップとして特徴的なのが、清水寺本堂よりも高い位置から京都市内の夜空をめがけて灯される一筋の青い光です。この光は観音様の慈悲の心を表しているそうです。京都の夜空を照らす幻想的な青い光は、当日清水寺に訪れる事のできなかった人々にも観音様の慈悲が届くような印象を覚え、視覚的にだけでなくその精神も含めて非常に美しく感じます。境内からは星空も観測することができ、いつまでも眺めていたくなるような非常に幻想的な雰囲気でした。
ライトアップされているのは本堂や紅葉だけではありません。
境内の重要文化財である奥の院や三重塔、仁王門なども美しくライトアップされています。
普段から朱塗りが美しい清水寺の境内ですが、夜の暗さと明るい朱塗りの境内とのコントラストは見ものです。また入口付近である三重塔あたりのエリアは先ほど紹介した青い光の筋がよく見る事ができ、普段よりも荘厳が増しているかのような姿を楽しめます。仁王門、西門などは京都の夜景がよく見え、奥の院から見る光景とはまた異なる趣があります。
また、境内下の飲食店も夜間営業が行われていて、美しく風情ある趣があります。ところてんなどの軽食メニューが食べられるようですが、残念ながら私が訪れた20時ごろには営業終了となっていました。三十問を眺め見る事ができるのはここだけですね。
■帰りの道中も幻想的な二年坂・三年坂
帰りは二年坂や三年坂を抜けて。
こちらもお店はすでにしまっていますが街灯で美しく普段とは異なる雰囲気が楽しめます。清水寺のライトアップは帰り道も幻想的な雰囲気の中で帰れるのがうれしいですね。照らされる石畳が何とも味わい深い雰囲気を醸し出しています。食事がてらに祇園や河原町に繰り出すのも良いですね。ついでに帰りの祇園四条駅近くにある歌舞伎座などもライトアップされているので見ものですのでおすすめです。千日詣りとライトアップを楽しむ一日は夏の風物詩としてぜひおすすめです。