京都人がおすすめする【京都穴場スポット紹介】 <北編> 

京都は人気の観光地が多いですが、「修学旅行生やインバウンドの人込みが多くて、落ち着いて観光ができない」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。
また、「金閣寺や清水寺は何度か行ったので、もっと違う場所を観光したい」という方もいらっしゃるかと思います。

そこで京都に住んで30年以上である京都人、私kamoが「おすすめしたい落ち着ける京都の穴場」としていくつかご紹介いたします。今回は金閣寺などがある京都市の北側で穴場のスポットを紹介。人気観光地の合間に落ち着ける京都を体感いただけるようアクセスも紹介いたします。


<この記事はこんな方におすすめです>

・京都で落ち着いた観光をされたい方、人の少ない穴場をお探しの方

・金閣寺、瑠璃光院、貴船神社など京都市の北側を観光される方

・人気観光地以外の京都を感じる場所、侘び寂を感じる場所をお探しの方


穴場度について

私が実際にいった体感ではございますが、穴場度を☆で三段階評価にして記載していきます。

 ☆・・・・・観光客は10人前後。(秋の紅葉などの人気シーズン・土日祝を除く)

 ☆☆・・・・土日祝でも観光客は5人~10人以下程度の穴場。

 ☆☆☆・・・土日祝でも時間帯によっては貸し切りの穴場。


目次

■源光庵  【穴場度】:☆
 円形の「悟りの窓」・四角の「迷いの窓」が特徴的な紅葉の名所。

蓮華寺  【穴場度】:☆☆
 2024年の「そうだ京都行こう」のCMで女優 安藤サクラさんの訪れた庭園の美しいお寺

■等持院 【穴場度】:☆☆
 自然豊かな回遊式庭園が特徴。書院ではお抹茶を味わえる穴場スポット

■尊陽院 【穴場度】:☆☆☆
 アサギマダラ蝶の天井画が美しい、近年改修された京都の新映えスポット

■源光庵

【見どころ】
 ・円形の「悟りの窓」・四角の「迷いの窓」が特徴的な禅寺。
 ・400年を超えて戦国時代の武士の生きざまを残す「血天井」のあるお寺の一つ
 ・ベストシーズンは秋だけど、人がいない穴場シーズンは6月〜9月頃。


◆【最寄り人気観光地】:金閣寺、今宮神社、大徳寺
◆【穴場度】:☆

金閣寺のある北山地域からさらに北に進むと鷹峯と呼ばれる自然豊かな地域がございます。源光庵はそんな鷹峯にひっそりと建つ曹洞宗のお寺。とりわけ有名なのは、「そうだ京都行こう」のポスターでも取り上げられた「悟りの窓」と「迷いの窓」。円形の窓が悟りの窓・四角の窓が「迷いの窓」でそれぞれ窓から紅葉を望み、爽やかな風が吹き込んで心地よい空間を演出しています。
決して大きくはなく、派手さはない寺院ですが、四季折々の変化を楽しめる演出が素晴らしい場所です。

「悟りの窓」・「迷いの窓」

悟りの窓の円型は「禅と円通」の⼼を表し、円は⼤宇宙を表現し、円迷いの窓の⾓型は「⼈間の⽣涯」を象徴し、⽣⽼病死の四苦⼋苦を表しています。

対峙していると、自然と自己を振り返り物思いにふけるような神秘的な雰囲気が体感できます。鷹峯自体がとても静かで自動車などの交通も多い場所ではないので、木々が風で揺れる音が耳に心地よく窓から木漏れ日が映し出され、ただ眺めているだけで心が合わられるよう。金閣寺などの人気観光地の賑わいの中では感じられない心落ち着く体験ができるスポットです。紅葉シーズンになると人があふれてしまうので、青紅葉の見ごろな5月〜9月頃がお勧めです。

◆血天井

また、もう一つ特徴的なのが本堂の天井である血天井です。血天井とは京都にあった伏見桃山城の遺構で、戦国時代の慶⻑5年7⽉(1600年)徳川家康の忠⾂である⿃居彦右衛⾨元忠の⼀党1800⼈が⽯⽥三成の軍勢と交戦し討死、残る380余⼈が⾃刃して相果てたときの恨跡。京都には源光庵の他、「正伝寺」、三十三間堂の近くにある「養源院」などに分割して保管されており、⾃刃した際の血、床に手をついたときの手の跡、血の床の上を歩いたであろう足跡な400年の時を超えて当時の壮絶さを現代に伝えています。人によっては少々怖いと感じられるかもしれませんが、生と死を垣間見ることのできる空間は京都の中でも異色の存在ですので、ぜひご覧いただければと思います。

◆ギャラリー

拝観時間】: 9:00 ~ 17:00(16:30 受付終了)
※寺の行事がある時には、終日または臨時に拝観を中止することがあります。

【拝観料金】:大人 400円(中学生以上)※紅葉時期は500円

【アクセス】:〒603-8468 京都府京都市北区鷹峯北鷹峯町四七
      「鷹峯源光庵前 下車」

【HPリンク】:京都 源光庵|悟りの窓・迷いの窓の禅寺

【おすすめアクセス方法】
・京都駅からの場合
 地下鉄(烏丸線)乗車、「北大路駅」より「北1号系統 玄琢行き」に乗り換え。「鷹峯源光庵前 下車」

・金閣寺からの場合
 ①金閣寺前などから北大路バスターミナル行きの市バス204号、205号などで「千本北大路」で下車。
  ↓
 ②千本北大路から「市バス6号」に乗車。「鷹峯源光庵前 下車」

 

蓮華寺

【見どころ】
 ・2024年の「そうだ京都行こう」のCMで女優 安藤サクラさんの訪れた穴場なお寺
 ・庭園を望む美しい書院の光景。静けさの中ぼーっと落ち着いた空間を味わえる
 ・撮影不可ながら、本堂では釈迦如来像や龍の天井画も楽しめる


◆【最寄り人気観光地】:貴船神社、三千院、瑠璃光院、圓光寺
◆【穴場度】:☆

蓮華寺は京都を流れる鴨川の源流のひとつ高野川のほとりにあり、比叡山を間近に望む洛北と呼ばれる地域にある小さなお寺です。

洛北あたりの観光地だと貴船神社や三千院、瑠璃光院などが有名ですが、人気が高く混雑しがちなのが難点です。そんな洛北観光の息抜きにおすすめなのがここ、蓮華寺。最近では2024年の「そうだ京都行こう」の夏のCMでも取り上げられ注目を集めつつあります。

「そうだ京都行こう」は有名観光地を紹介することが多かったのですが、ここはまさに穴場。小さいお寺ではございますが非常に静かで侘び寂の文化を感じたい、癒されたいという方にお勧めのお寺です。

元々は現在の京都駅付近にあった浄土教系の古寺でしたが、応仁の乱の折に荒廃していたものを狩野探幽ら数々の著名文化人の協力のもと、現在の洛北の地に移し再興されたもの。本堂・鐘楼堂・井戸屋形・庭園は創建当時のままのものであり、文化人たちが貴重な文化遺産を楽しむ事ができます。

まず入口の山門、正直見落としてしまうほど目立たない・・・人通りも少なく目立つ看板や案内板も特にないのでスルーしてしまうことにご注意ください。石碑や駐車場スペースが目印です。駐車場は無料ですので、お車やバイクなどお持ちの方には嬉しいですね。山門をに入ると庫裏まで延びる石畳の参道が目に入り、中は静けさが漂っています。山門も創建当時のもので非常に古めかしく、山門から入口まで歴史を感じる趣です。

自然を感じる美しい書院の光景

受付を済ませるとすぐに阿弥陀三尊が安置された小部屋が。そこを抜けると庭園を望む書院と一体化した庫裏がございます。2024年の「そうだ京都行こう」の夏のCMで女優の安藤サクラさんがくつろいでいたのはこちらの間です。畳が敷かれ、庭園からの木漏れ日が差し込む書院は入った瞬間から「ほっと落ちける」を感じさせてくれます。派手さはないものの、木々の揺らめく音や吹き込む風、野鳥の声、庭園の池の鯉が跳ねる音など自然の恵みや豊かさを存分に感じる事のできます。書院内の電気を落としているので、より庭園の自然の風景を楽しませようという工夫を感じます。決して山奥というわけではなく、近くには大きな道路もある場所に位置している寺院ですが、喧騒を忘れさせる心地よく落ち着ける穏やかな時間が流れ、休憩や坐禅を組むなどに最適の場所です。書院の中には鷲の杉戸絵なども拝見することができます。

◆庭園の造形

池泉鑑賞式庭園と呼ばれるもので、庭園は浄土式庭園の形式に従い、池の対岸に浄土を描いており浄土式庭園は池の周囲を巡り歩くことを想定して作庭されています。

こちらの庭園も庭に降りる事が可能。庭園から本堂に向かう中で、短く小さいながらも庭園を散策でき、生い茂る木々や苔の美しさや、池の水面や生き生きと泳ぐ鯉の美しさを楽しむことができます。

本堂

庭園に敷かれた板戸の通路を渡り本堂へ。

残念ながら庭園を降りた先から本堂は撮影が禁止されているので写真でお届けできないのですが、本尊・釈迦如来像や龍の天井画を見る事ができます。静けさの中で展示物の美しさ、歴史の深さと対峙する事は何とも神聖さを感じます。

本堂入り口には石川丈山の筆による寺額が掲げられ、堂内中央の須弥壇には螺鈿厨子に収められた本尊・釈迦如来像が安置されていて、神聖な趣が本尊左側には上品下生印(来迎印)を結んだ阿弥陀如来像が安置され、本尊右側にも秘仏として不動明王が安置されています。

天井には、かつて狩野探幽が描いたとされる龍の図がありましたが、明治期に失われ、1978年(昭和53年)に仏師の西村公朝によって復元されたもの。建仁寺の迫力のある龍とは若干異なり、どこか可愛げのある姿です。

◆ギャラリー

拝観時間】:9:00 ~ 17:00

【拝観料金】:大人 500円

【アクセス】:〒606-0065 京都市左京区上高野八幡町1
       京都バス「上橋」下車徒歩すぐ、叡山電車叡山本線「三宅八幡駅」下車徒歩約7分

【おすすめアクセス方法】
京都駅からの場合
・【方法1】
①地下鉄(烏丸線)乗車の国際会館行きに乗車し、「国際会館」駅下車。
  ↓
②「国際会館」駅より「京都バス 特17/19系統 大原行き」に乗り換え。「上橋」下車徒歩すぐ。

【方法2】
①「市バス206清水寺・祇園・百万遍・北大路バスターミナル行き」に乗車。「叡電元田中」下車。
  ↓
②徒歩1分ほどの叡電「元田中駅」より八瀬比叡山口行に乗車。「三宅八幡駅」下車徒歩約7分

等持院

【見どころ】
 ・ツツジや紅葉の見事な回遊式庭園を散策。縁側ではお抹茶を味わえる穴場スポット
 ・足利尊氏の墓や室町幕府の歴代将軍達の木像が勢ぞろいなど、歴史ファン必見のスポット

◆【最寄り人気観光地】:金閣寺、仁和寺、龍安寺、北野天満宮、妙心寺
◆【穴場度】:☆

立命館大学の裏手にある京福電車「等持院駅」近くの静かな住宅街にある臨済宗の寺院。嵐山にある天龍寺派の寺院で太平記で有名な足利尊氏が創建しました。きぬかけの道の「金閣寺・龍安寺・仁和寺」の3つは良く取り上げられる機会が多いですが、それらと比べてメディア露出の少ないひっそりとした寺院です。しかしながら美しい庭園を見るだけなく回遊できる事やツツジや紅葉など自然が豊かで縁側でおちついて鑑賞ができる、「静かな京都」を味わいたい方にお勧めの穴場スポットです

ツツジや紅葉のきれいな回遊式庭園を散策、書院ではお抹茶を味わえる穴場スポット

境内には2つの庭園がございます。一つは方丈側で楽しめる整然とした枯山水庭園で禅の世界に浸る事ができ、もう方法には芙蓉池を中心に花木や草木が配された自然が豊かな庭園を楽しむことができます。後者の庭園では春先は有楽椿、初夏は皐月やツツジ、7月頃からはクチナシ、初秋は芙蓉、晩秋には紅葉を楽しめるのでどの季節に訪れてもお勧めです。

また、こちらの庭園は書院から降りて庭を回遊しながら散策することが可能。石組みも変化に富んでいて間近くで花を見る事ができるのが素敵です。庭園の石段を上がると一番上には茶室・清漣亭あり、内部を見る事や茶室からの風景と同じ光景を見ることも。また、書院では庭園を眺めながらお抹茶と茶菓子も楽しむことが可能で、ゆったりと過ごす事ができます。金閣寺や仁和寺などきぬかけの道界隈は歩くことの多い観光地ですので、休憩がてらにお抹茶で一息つくという楽しみ方としてもお勧めのスポットです。

◆足利家ゆかりのお寺。足利尊氏の墓や室町幕府の歴代将軍達の木像が勢ぞろいなど、歴史ファン必見のスポット

今やハリウッド俳優となり、将軍でエミー賞を総ナメにした真田広之さんが主演を務めたNHK大河ドラマ「太平記」、漫画「逃げ上手の若君」の敵役などで再注目される足利尊氏。その尊氏が立てたお寺という事もあり、歴史ファンにはお勧めのスポットです。中でも室町幕府の初代から15代(5代義量と14代義栄の像を除く)までの木像が一堂に並ぶ霊光殿の内部は壮観です。また、木造でありながら非常に作りこまれている姿は歴史好きでなくても一見の価値があります。また、徳川家康の木像も同じ場所に設置されています。当初は石清水八幡宮豊蔵坊にありましたが廃仏毀釈のあおりを受け等持院に移されたとの事。写真撮影が許可されていないため、写真で紹介する事が叶いませんので、ぜひご自身の目でご覧いただければと思います。
金閣寺を建てた3代将軍義満、仁和寺再建に関わった徳川家、そういった「きぬかけの道」の世界遺産を鑑賞した後にそれに関わった偉人たちに思いを馳せる・・・そういった歴史ロマンを感じさせてくれるお寺です。

◆ギャラリー

拝観時間】:9:00~16:30(16:00受付終了)

【拝観料金】:大人 600円 / 子供300円

【アクセス】:〒603-8346 京都市北区等持院北町63番地
      京福電鉄北野線「等持院・立命館大学衣笠キャンパス前駅」下車、徒歩約5分

【HPリンク】臨済宗 天龍寺派 等持院

尊陽院

【見どころ】
 ・アサギマダラ蝶の天井画が美しい、近年改修された京都の新映えスポット

◆【最寄り人気観光地】:大徳寺、晴明神社
◆【穴場度】:☆
☆☆

日蓮宗の本山である本法寺の中にある塔頭である「尊陽院」。京都の大きな道路が通る近くにありながら独特の静けさを漂わせた小さな寺院です。有名な観光地としては晴明神社のある地域ですが、長い間人が住んでいない古い空き寺であったということもあり、まだまだ知名度は低く2024年時点で京都観光を紹介するガイドブックでも取り上げているものは少ないというまさに穴場。

目玉はなんと言っても院内に描かれた青く美しいアサギマダラ蝶の天井画です。花などの描いた天井画は京都では正寿院や大覚寺、平岡八幡宮が有名ですが、蝶の天井画は全国でも珍しいと思います。平日であればほぼ貸し切り状態で存分に楽しむ事のできるまだ知られていないスポットであるのと、寺院自体は小さく玄関と合わせて3フロアしかないので短時間で観光を済ませられるので、京都の北側の観光の際にはぜひおすすめしたいスポットです。

訪れる人の痛みや苦しみを救い舞い上げる「祈りの天井画」

古い空き寺であったのを、平成19年(2007年)の頃にこちらのお寺を任される事となったご夫妻が人の痛みへの救いと祈りに心を向ける「水子供養」を主にするお寺として生まれ変わらせ、今日にいたります。老朽化による尊陽院の改修の際、mais(マイス)さんという女性芸術家とご住職が知り合う事となり、その際に改修のディレクションを務めたmais(マイス)さんによってアサギマダラの美しい天井画が生まれました。アサギマダラは幻の蝶と言われ、気の遠くなるほどの長距離を移動する珍しい蝶。mais(マイス)さんは尊陽院を見た際に「この寺院には蝶がいる」と感じたそうで、こちらのお寺の奥さんでもある理恵尼僧もご結婚される前の若いころに旅先で出会ったお寺の方に「あなたには蝶がいる。きっと尼僧になると」と言われたという体験もあり、運命を感じたとのこと。また、この天井画には「訪れる人の痛みや苦しみを優しく舞いながら救い上げ、花々と共に昇華へと導く」という意味も込められていて、寺院内に差し込む自然の光や風とともに癒しの空間を演出しています。

◆ギャラリー

拝観時間】:10:00~16:00

【拝観料金】:大人 300円

【アクセス】:〒602-0061京都府京都市上京区本法寺前町650-3
       ・最寄りバス停 :京都市バス 『堀川寺ノ内』より徒歩3分
       ・最寄の電車駅 :地下鉄烏丸線 『鞍馬口駅』 1番出口より 徒歩10分

【おすすめアクセス方法】
京都駅からの場合
・【方法1】
①地下鉄(烏丸線)乗車の国際会館行きに乗車し、「北大路」駅下車。
  ↓
②市バス「204号 銀閣寺行き」、「205号 京都駅行き」「北1号 玄琢行き」などに乗り換えて、
 「北大路堀川」にて下車
 ↓
③市バス「9号 京都駅前行き」、「12号 三条京阪前行き」などで「堀川寺ノ内」にて下車し徒歩3分。

・【方法2】
①地下鉄(烏丸線)乗車の国際会館行きに乗車し、「鞍馬口駅」駅下車。1番出口より 徒歩10分

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